誤嚥性肺炎

久々にまじめな話をいたします。

タイトルについてですが よくわからんが肺炎だな なんで歯医者に関係があるんだと、皆さん思うでしょう。

私には関係ないと思うでしょうが ちょっと我慢して読んでみてください。これから 一生懸命歯を磨くようになるかも知れません。 

まず、肺炎は実は死因の第4位というのは ご存知でしょうか?

風邪は万病のもとといいますが、それは医学的にいっても真理だと思います。

ときどき風邪から肺炎になることもある。なんとこの肺炎は、ガン、心臓病、脳卒中の3大死因に次ぐ数なのです。抗生物質もない明治、大正時代なら、それもまだわかりますが、生活環境も栄養状態も格段に改善された現代でなぜ肺炎がと思いますよね。

これにはわけがあります。現実には、肺炎で死ぬ人の大多数は高齢者。それも、他の病気を患っているところに肺炎を併発する場合がほとんどなのです。

とはいえ、肺炎を侮るべからず。

肺炎自体は主にウイルスや細菌などにより起こるものですが、もともとの病気で抵抗力が衰えるところにウイルスや細菌が肺に入り込み悪化し そうしてどんな抗生物質も効果がない。という状態に陥ります。

この始末の悪いウイルスや細菌のほとんどが口腔内の歯垢や入れ歯の汚れなです。

それと一緒に食べ物を、誤嚥下、つまり飲み損なって肺の方に入り込んで起こる肺炎 つまり 誤嚥性肺炎なのです。

普段はむせるという反射によって 肺に間違って入った異物は出されてしまうのでほとんど心配ありません。

しかし抵抗力が弱ったり 全身的な疾患がありその治療をする場合 口腔内の清掃維持管理がものすごく重要になります。

先日 信州大学病院でも その重要性が認められ 歯科医師との講習会が開かれたことは 新聞にも大きく取り上げられました。

信州大学がん患者等歯科医療連携 連携協力歯科医として当医院も登録しております。協力医のことはあまり関係ないのですが とにかく大学病院でも全身疾患の予後には口腔内の管理が重要だと認められたことです。

3大死因のがん以外は血管疾患です 歯槽膿漏と血管の関係もご存じの通り重要な関連があり 糖尿病や心疾患 腎臓などへの関連は最終的には血管の異常の結果です。

それと意外と知らない人が多いのですが、抗生物質は風邪のウイルスには全く効かないということです。

抗生物質と言うとペニシリンなどが有名ですが、細菌性の病気にはすごい力を発揮するが、風邪のようなウイルス性の病気には無力なのです。それどころか風邪そのものの治療薬はありません。

皆さんもまた家族の方でもできるだけ 口腔内を清潔に保ちまた 入れ歯なども清掃するようにしてください。

脳の刺激という意味でも口腔や味覚などは重要です。介護の場では 栄養を与えればいいと 誤嚥性肺炎も怖いし流動食にしがちです。

しかし 入れ歯ででも 噛むものは噛み 咀嚼筋を活動させ そして 冷たいものは冷たく 甘いものは甘く味わなければ寂しいし ボケの原因にもなります。これらの刺激は手の刺激や 足の刺激と同じぐらいです。大げさな話、脳に対する刺激の3分の1近くあります。

皆さんもっと自分の口腔を大事にしてください。

私は歯科医師です だからそう思うのでしょうが 痛くなったり たんに見た目だけの問題ではないと思っています。もちろんそれも大事ですが 歯槽膿漏や痛くならないうちの虫歯なども問題があります。

ストレスも多いのでしょう食いしばり 刺激物やアルコールに頼り 歯を抜く寸前の状態で口臭もかなりある方もいます。痛くなり歯を失い 歯槽膿漏が進んで抜歯して顎が吸収してからではどんなに後悔しても お金をかけても入れ歯も難しくなります。

インプラントも顎の骨がなければ植えられません。また寝たきりになった時のインプラントの問題はこれからです。死ぬ前日まで元気で次の日目を覚まさないような生き方ならいいでしょうが 自分のこれまでの生活を考えると これまでの高齢者の方々とは  違うと思いますし福祉も当てにならない老後が待っています。

これからでも自分の体のために簡単にできることを考えてみてください。よく噛んで適量の食事をとることが一番でしょう。酒を飲まなかったりたばこを吸わないで死んだということは聞いたことがありません。無駄な金を使うなら 口腔管理にもかけてもらいたいと思います。

これからの自分の生活を考えれば 理屈は分かっているはずです。我慢しろと言うつもりはありません、私もそうですから しかし気がついてからではかなり遅いのも事実です。

健康であることが本当に大事だと気がつかない人生を送りたいものです。