精密な治療

■拡大鏡
むし歯と健康な歯の境目を見極めながらむし歯を削るときや、詰め物やかぶせ物と歯の間に、ほんのわずかなすき間や段差も生じないように治療するときなど、歯の治療は非常に繊細な技術が必要になります。

肉眼では見えないような、ほんの少しのむし歯の削り残しや、反対に削りすぎ、詰め物と歯のすき間といったところから、むし歯が再発してしまうことがあります。

最新の知識や機器、技術があっても、ちゃんと見えていなければ確実な治療を行なうことはできません。人間の肉眼では見えないような細かい治療を確実に行なうために、当院では、2~5倍くらいの倍率で口の中を見ることができる拡大鏡(ルーペやテレスコープとも言われます)を使っています。

患者さんの口の中を肉眼で見るのと拡大鏡で見るのとでは、見え方がまったく違います。精密な治療を行なうために、拡大鏡は欠かせないと実感しています。

もちろん技工操作でも 必要不可欠のものです。補綴物の制作には使用します。技工士よる最終仕上げのコーナーで下に技工室の写真がありますが 顕微鏡のように見えるのがそうです。

■補綴物の調整

 歯と歯の間は50μから110ミクロンの間で調整されます。コンタクトゲージと呼ばれる 隙間を調べる薄い金属の板を 差し込みながら調整します。ですから最初はきつく感じます。50μの金属の板を差し込み、きつさを確認しながら少しずつ補綴物の隣接を調整するのです。

なぜ50μから110μの間かというと きつすぎたら デンタルフロスなどが通りません しかし150μを超えると食べるたびに繊維性のものが挟まるようになるのです。歯には生理的動揺もありますが 歯周疾患が進むとグラグラし調整は不可能になります。何回もきつめのものを差し込み確認するのは 50μから110μに調整するためですので ご理解ください。また最初は80μぐらいだと少しきつめのような感じになります。

次に咬合のチェックです これはきれいに当たるように調整するのです。高すぎてもいけませんが 当たらないのも問題があります。一本ずつ奥歯を低く調整したら 前歯だけがが 強く当たるようになり 前突になり最後は上の前歯は 駄目になります。ですからどの歯も奥歯は噛み合うように 検査をする薄い咬合紙やワックスを使いながら調整します。

次は歯は横の力に弱いので 横の動きで歯が強く当たらないように色の違う咬合紙で調整します。この時のガイドをするのが糸切り歯(犬歯)です。犬歯だけにするかどうかは 口腔内の状態で歯科医師が判断します。そして もう一度磨いて調整が終わりになります。ですからすぐ入って違和感がなければそれでいいとは言えないのです。つまり最初は、少しきついようで 少し当たるような気がするのが当たり前です。今までの仮詰や 仮の簡単な被せものとは違ってきます。

石膏模型で技工士さんが精密に作っても 天然歯は生理的動揺もあれば 時間が たち過ぎると移動してしまい入らないほどきつくなることもあるのです。どんなに精密に作っても 最後の精密な調整は必要です。少しずつやればやるほど時間はかかります。

これは奥歯の場合 インレーでもクラウンでも同じことです。前歯にも同じような調整がありますが 多少違ってきます。