ラバーダム

■ラバーダムの役割
ラバーダムをご存知でしょうか?
治療する歯の周りにかける薄いゴムの膜のような素材を、ラバーダムといいます。

ちょっと息苦しい感じがしたり、手間だなあと思われるかもしれませんが、ラバーダムには防湿や神経の治療の際の感染予防などの役割があります。

かなりストレスを感じる患者さんも多く、神経の治療や防湿の特に必要な場合などに使用します。

・感染予防の役割
歯科治療をするとき、患者さんの唾液や血液が飛び散ることで、院内感染を起こす可能性がありあす。器具や器材の滅菌や消毒も大切なことですが、唾液や血液の飛散を防ぐことも、大切な感染予防だと考えています。最近はデンパックス(口腔外吸引機)を使用することが多くなりました。院内感染予防の観点からは、デンパックスのほうが効果があります。最初吸引の音が大きいので怖がる方もおります。音だけですのでご安心ください。

特に神経の治療の際唾液が歯の中に入り込むと再感染の恐れもあります。この場合も特殊な口腔内吸引装置(ZOO)を使用することもあります。ラバーダムより患者さんの苦痛は少ないです。

・治療効率を向上する役割
唾液で治療箇所がぬれてしまうことがないので、より確実に薬剤を塗ったり、歯科材料を接着したりできます。また、ラバーダムをしないとき、歯科医は片手で患者さんの唇や頬を押さえて口の中を見やすくしていますが、ラバーダムをすればその必要がありません。歯科医は自由に両手を使って治療をすることができます。

特にレジン充填の際に唾液や呼気などの防湿に使い確実な治療ができます。これも最近は特殊な口腔内吸引装置を使うことが多くなりました。

■赤字覚悟でラバーダムを使用しています
ラバーダムは、日本ではあまり使用されていません。実際保険診療で請求できるのは神経の治療の時だけです。そのためラバーダム以外でもそれ以上の効果があればそちらのほうを使います。
ラバーダムの保険点数が低い(約100円)のが、その理由の一つとして挙げられると思います。ラバー自体の値段が約60円~100円くらいですので、ラバーダムを使用する場合の手間や時間、人件費を考えると、完全に赤字になってしまうからです。これからの法改正により治療の中に含まれることになりそうです。請求すらできなくなります。乳歯の神経を部分的にとる治療などには必要不可欠です。

あえてここで永久歯の神経治療(根管治療)について述べさせていただきますが、ここ20年以上ほとんど請求点数は上がっていません。使用する器具や材料はもちろん値上がりしています。保険診療を一生懸命やると、この部分ではかなり経営的にきつい状態になります。歯科医師も患者さんもきつい(治療中はほとんど口を閉じれません)ことになります。お互いなるべくやりたくない治療です。できる限り、小さな虫歯のうちに治したいものです。

ラバーダムを面倒に感じられる患者さんもいらっしゃるかもしれませんが、あなたの安全と健康を守るため、治療した歯を長持ちさせるためでもありますので、どうかご協力ください。また、息苦しいときなどは遠慮なくおっしゃってください。