3mix-MP法について

最近またメディアや健康雑誌などで 最新特殊な治療法のように取り上げられ 患者さんも関心があるようです。この問題が取り上げられると いつも引っ張り出されるのが3mix-MP法のもとになった3mix法の開発者である 前・新潟大学教授の岩久正明先生のホームページです。そこには3mix-MP法の報道にある 削らないう蝕治療法は残念ながら現在はありません。できるだけ残してこの薬剤で殺菌を図る場合でも、かなり柔らかい感染組織は元に戻らないし、その上に修復はできないので破壊された組織を取り除くことは避けられません。細菌を殺すよい薬、歯に優れた接着性のある材料など、新しい治療法の開発で、最近は削る量は少なくなりましたが全く削らない治療は不可能です。3mix-MP法では、再治療が無いとの表現は適切ではない。という趣旨の発言があり 過度の期待に警告しています。

では3mix法とは何かということですが 感染した歯の神経や 歯の根の中から高い比率で検出される嫌気性 つまり酸素の嫌いな細菌に対応するために開発された3種類の抗生物質の合剤で 殺菌治療することです。臨床的には虫歯を除去したのち歯髄(一般に歯の神経と呼ばれています)の保護や、治りにくい感染根菅の無菌化治療薬剤としての応用が提唱されています。

次に3mix-MP法は 3mixつまり3種類の抗生物質の粉末を混合するときに マクロゴール(M) プロピレングリコール(P)の2種類の軟膏を使ってペースト状にしたものを虫歯の奥の方に入れて無菌化するというもので 先の岩久正明先生は自分の講演を聞いた仙台の歯科医師が3mixを混ぜる材料M・Pの名をつけただけと主張しています。

日本歯科保存学会の公式見解は保存領域の治療に常用する薬剤としては、現状では容認しがたい。という見解が出ているようです。

3種類の抗生物質による細菌に対する治療法ですが、1種類でも嫌気性細菌に対して同じぐらいの効果のある抗生物質も実験ではあります。また既に並行輸入されていますが 外国では同じような効果のある材料が臨床に使用されています。

しかし国内ではまだ正式な歯科治療とは認められず 保険にも採用されていません。つまりすべての治療が自費扱いとなります。現在虫歯の部分を除去して 修復するわけですが完全にとりきれてない場合や まだ虫歯の部分があるがこれ以上削ると神経が出ると思われるような時、斬間的な保存方法としては効果があると思います。すべての症例に使えるものではなく 限られた症例になってくるのは当然のことでしょう。

この治療法は一般歯科医師も興味を持ち勉強もしています。将来的には同様の効果のある材料も開発されるだろうし実際出始めています。私が今言えることは この治療法は術式通り行えば特別難しい治療ではないし 確実に う蝕部位が取り除けるのなら 特に必要はないということです。しかし 私もレジン充填においては 抗菌性の処理剤も併用しています。