セラミック治療

「セラミック」(陶材)は、詰め物やかぶせ物に使われる、歯科材料の名前です。白い色の歯科材料で、硬度はかなりあります。

むし歯の治療をしたとき、昔はそこに金属を詰めるのが一般的でした。また、前歯に隙間があるときや欠けてしまったときの治療方法が、大掛かりなものになってしまうか、あるいはなにもしないで放っておくかのどちらかでした。

口をあけたときに銀歯が見えるのが恥ずかしい、笑顔を人に見せたくない、就職活動や面接、営業などででいい印象を与えたい、自分に自信をもちたいという方が増え、セラミックで歯を修復したいと希望される方が増えてきました。

■セラミック治療の種類

セラミック治療には色々な種類があります。

1.歯の表面に薄いセラミックを貼り付ける方法
・前歯に隙間がある場合…隙間のないようにセラミックをつけ爪のように貼り付けます。特別な場合以外私は進めません。

2.歯の一部分にセラミックを詰める方法
・むし歯の治療をした部分の詰め物(インレー)を、金属(アマルガムなど)やレジン(プラスチック素材)から白いセラミックに変えます。現在ほとんど私は、行っていません。

3.歯全体にセラミックをかぶせる方法
・神経を抜いた歯のかぶせ物(クラウン)を金属から白いセラミックに変えたり、古い差し歯を取り替えるときにセラミックを選択される場合もあります。支台(コア)の部分に金属を使う方法と、グラスファイバーとコアレジンによる支台築造の方法を取り入れ患者さんに一番いい方法を説明します。

■セラミックのメリット

セラミックにはたくさんのメリットがありますので、ご紹介します。

・体に優しい素材です
セラミックは、生体親和性のある体に優しい素材です。
歯科素材は、かたすぎるとかみ合わせる歯が磨り減っていってしまいますし、やわらかすぎると、歯科素材自体が磨り減っていってしまいます。バイオセラミックは歯に近いかたさなので、かみ合わせの歯を痛めません。

・金属アレルギーの心配がありません
セラミックには金属が含まれませんので、金属アレルギーの患者さんにも安心な歯科材料です。
金属アレルギー治療のページ に症例が載っています。御覧ください。

・色や形を自由に調節できます
セラミックは、色や形を自由に調節することができます。あなたの歯の色に合う自然な色合いから、輝く真っ白い色まで、自由に選ぶことができます。また、丸みを帯びた女性らしい形や、きちんとしたイメージのシャープな形など、好みの形に仕上げて治療することができます。

・自然な仕上がりです
セラミックの最大の特長は、歯に近い白さを再現できる、ということです。他の歯科材料は主に金属で、治療をしたところが誰の目にもすぐに分かってしまいました。セラミックは、天然の歯に最も近い色を再現できます。目に見える部分だけをセラミックで白くするのではなく、例えばオールセラミック治療の場合、裏側まで全てセラミックを用いるため、透過性という点でも、天然の歯と見分けがつかないほど自然に仕上がります。

・変色、黄ばみや、臭いの付着がありません
セラミックは、レジン(プラスティック)と違って、年月が経ってもほとんど色に変化がありません。レジンは、通常2年くらい経つと変色や黄ばみ、においの付着がおこりますが、セラミックは黄ばむこともなく、においがついてしまうこともありません。

・歯ぐきが変色しません
金属のかぶせ物ををかぶせると、口の中で金属が腐食して色素が沈着し、歯ぐきや歯が黒ずんできてしまうことがよくあります。セラミックは腐食しませんので、歯ぐきや歯が黒くなってしまうことがありません。

・長持ちします
セラミックは耐久性に優れていて、非常に高い強度をもった歯科材料です。そのため、すり減ることがほとんどなく、長持ちします。デメリットでも説明しますが、噛み合わせなどに問題があれば破折の危険性はあります。奥歯の噛む面は審美性を優先しなければ、金属の方が安定していると思います。

 

メタルボンド
セラミックをメタルに焼き付けたものをいいます。安定した強度と適合性を有しています。一本でもブリッジでも問題なくできます。カラーレスにすれば境目もわからないくらい自然になります。欠点としては裏打ちが金属のため光の透過性がないのですが、現在の技術ではほとんど問題ありません。セラミックだけの場合、支台との接着操作がとてもシビアになってきます。もちろんどちらも注意深い操作が必要ですが、現在私はまだメタルボンドが多いです。
現在前歯の写真は、写りのよいのが少ないのですが 審美歯科治療のページ に1症例出してありますので御覧ください。術後3年です。

ジルコニアについて
ジルコニアは腐食に強く体ともよくなじむため医療分野でも広く使われ、歯科の審美性の高い治療の素材として注目を集めています。オールセラミックにジルコニアを使用することで従来のセラミックの強度の心配が少なくなり奥歯などにも使用範囲が広くはなりました。しかし、適合や色調にやや課題が残されているのと、技術的にも難しく費用も高くなる傾向にあります。

 

■セラミックのデメリット

残念ながら、セラミックにもデメリットがあります。

・保険が適用されません。
保険が適用されませんので、他の歯科材料に比べて高価です。

・かみ合わせの調節が必要な場合があります。
1本の歯をセラミックに変えるだけでも、かみ合わせの調整を行なう場合があります。せっかくセラミックの歯科材料を入れても、「噛む」ために歯が機能しないのでは意味がありませんので、ご理解ください。

・現在のセラミックは天然歯より硬いい為、噛み合う天然歯を痛めることもあるのです。ですから調整が必要になる場合もあるということです。セラミックでもほぼ天然歯と同じ硬度のものもありますがこれは特殊な技工操作が必要です。キャディムによるバイオセラミックブロックはかなり天然歯に近い硬度です。金属アレルギーのところをご覧ください。

私は患者さんの咬み合わせなどにより奥歯はセラミックを使わない場合もあります。多くの先生方も同じだと思いますが、奥歯の噛む面の被覆は金属修復が第一選択肢だと思っております。メタルボンドでも説明しましたが、ブリッジも審美性を求めた場合にメタルボンドが第一選択肢となります。答えは簡単です。噛む力が強くかかるような場合セラミックは破折する危険性が絶えずあるためです。インプラントの場合はもっと破折の可能性があります。私はインプラントには噛み合う部分だけはセラミックを使いたくないです。