ミニマル インターべンション(MI)

残念ながら虫歯になってしまったら、できるだけ削らないむし歯治療、MI修復を当院では行なっています。

■MIってなに?
「MI」というのは、Minimal Intervention(ミニマル・インターベンションあるいは ミニマム・インターべンションと呼ばれ:最小限の侵襲)の略で治療法というよりは概念だと思います。大きな意味でいえばすべての治療にその考え方があると思います。その中の修復の場合「歯を削る量をできる限り少なくして、今ある歯をできるだけ残す」という考え方のことです。現在はほとんどの先生がその考えを持って治療しています。しかしすべてが同じようにできるかというと、それぞれの適応によって変わってきます。噛み合わせ(咬合)が非常に大事になります。年齢や咬合状態あるい歯槽膿漏・虫歯になりやすい状態などによってかわりますので先生と確認相談してください。

■当院の考えるMI治療
歯科医として一番大事なのは、患者さんの歯を守ることです。
一度歯を削ってしまうと、二度と再生することはありません。また、自分の天然の歯に勝るものはありません。

そもそもむし歯にならないように、きちんと予防をすること。
そして、もしむし歯になってしまったとしても、二度とむし歯にならないように必要最小限の削除による治療をすること。
さらに、治療した歯やお口全体の健康を保つために、メンテナンスをすること。
この3つが大切だと考えています。

■MIのメリット(これからの目標)
MIにはたくさんのメリットがあります。先ほどから述べているようにこれからはそうなると思っています。

私の考える現在の大きな意味でのMIは、すべて白い詰めものだとは思いません。ある紹介では特殊な白い詰めものを使った虫歯治療となっている場合いもありますが、これはレジンと言って普段どの歯医者さんでもおこなっている治療です。もちろんコンポジットレジン充填は一回のアポイントで行うことのできるMI修復の一つのオプションです。歯科に接着可能な材料が開発された結果です。

しかし患者さんにとってのMIはそれぞれ違うと私は思います。たとえばアマルガム充填といわれる銀を詰める治療がありました。もう最近は行われていません。アマルガムの詰めてある患者さんはある程度の年齢に達しています。特別審美的に気にせず、現在までアレルギーなどの問題もなければ、私は再治療は勧めません。これも私にはMIです。しかしかみ合わせが強くて自分の歯も砕くような患者さんには小さな詰めものではもたない場合もあります。この場合は咬む面全体を金属で被覆するようにしたいと思うのも私の最小限の侵襲による最大の効果を発揮するMIだと思っています。

一本の歯の虫歯の治療と、一本の歯がないところの治療のMIの考え方は当然違います。歯は削りたくない抜きたくないのですが、削る時は細心の注意を払って削り、抜くべき歯は抜きます。無理に残して歯槽膿漏が進めば、あごの骨は吸収して減ってしまい、後に噛みづらい入れ歯や難しいインプラントになります。将来は歯と同じ性状の審美的な詰めものができ、歯槽膿漏もほぼ完全な治療ができればそれが一番だと思います。今はまだそれぞれの材料や治療法ののメリット、デメリットがあるとお考えください。日進月歩の治療法の進化に期待しMIを目標にしていきます。


上の後ろから3番目の金属を被っている歯が痛くて来院しました。


根の治療をしましたが、上顎洞にまで病巣があり抜歯しました。この時鼻腔まで穴が開いた状態になりました。その治癒を待ちながら後ろの歯の根の治療をやり治しました。そして抜いたところをどうするかということになります。インプラントをするには条件が悪すぎます。私はブリッジを選択しました。前の歯は噛む面を覆うアンレイにして見える部分は残しました。欠損部は硬質レジンで見える部分を覆いました。後ろはクラウンです。審美的にはやや問題があるかもしれませんが、この患者さんにとってMIで、なおかつ長期安定する治療だと私は考えます。金属は白金化金を使用しています。